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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-217


(小鳥の声が響き。)

(街が次第に、朝の色に包まれる。)

『失ってもまた、何ごともない日常が、

周りに流れて行く。』

『気に留める人もいない。』

『願いは小さく。 僕たちだけのものだったのか。

消え失せようと、構わないものか。』

『初めから、存在していなかったかの様に。

誰の心にも、残らないものだろうか。』

(夏樹は、両手を握り締め。
空を仰いだ。)

(夏の香りが、夏樹に届く。)

「ああ・・。」

(夏樹は、湧き上がる想いを、必死で堪えた。)

『僕達のいる意味は。

そんなに、小さなものなのか。』

『消えても、誰も。

気付かないほどに。』

(そんなことはないと、夏樹は、痛いほど感じた。)



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