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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-23


(思い出は、幾度となく、甦る。)

「・・粒樹。」

(悲しみと温もりが。 聖の中に、
忘れえぬ愛を、刻み付けた。)

(零れ落ちる涙を、拭うことも出来ずに。
繰り返す苦しみに。 嗚咽を漏らした。)

「もう一度、あの景色を見たかった。」

(幾度願っても、粒樹の居ない、朝が訪れる。)

(夜明けの光さえ、憎しみを覚える。)

「君と。

ただそれだけの願いが。

世界を壊す。」

(鋭い金色の瞳が。
風が揺らす、天蓋の向こうを。)

(幻の先にある、輝きを、睨んだ。)

***

キラキラキラッ・・

(ソラは、閉ざされた窓に、光を遮られ。
仄暗い、snow dropの廊下に出た。)

シャッ・・!



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