HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-26
「はい。」
(皆、互いを気遣っていた。 暗い思いを跳ね除け。
立ち向かおうとしていた。)
キイッ
ガチャンッ
(春人はsnow dropの白いアーチを抜け。
桜ヶ丘から、眼下に、風見市の街並みを見下ろした。)
サァァァーッ
(海風が、春人の襟元を撫でた。
春人には、街に起こる、変化を目に見ることは出来ない。)
(守っていた“結界”が破壊された様子も。
街に、不穏な影が、宿る様子も。 人間である、春人の目に映ることはない。)
(それでも、海浜公園から吹き上がる風に、
鳥肌が立ち、身を引き締め。 歩き出した。)
***
キキッ
ブブンッ・・
ガチャッ
(眩い光が差し込む。 風見市から離れた、港町に建つ。 巨大なホテルの
正面玄関に。 光を反射し、黒い車が停まった。)
「足元に気を付けて。 どうぞ。」
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