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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-29
(国の頂点に立つ者。 陰で支える者達。)
(様々な者達の思惑の中で。)
(“沙羅”を送り届けるという任務の他に。
もう一つの計画を。 湊吾は担おうとしていた。)
「出発します。」
(反町は、鋭い視線を走らせ。
目に触れる、全ての者を、警戒し。 敵が居ないことを、瞬時に判断した。)
「宜しくお願い致します。」
(湊吾と反町を、車を傍で見送る男性が居る。)
(緑色の民族衣装に身を包む、長身の男性は、深々と湊吾にお辞儀し。
反町に、想いを込め、頷いた。)
「はい。」
(反町は答え、頷き。 緑色の着物の男が、命よりも大切という、
運ぶべき者の、隣へ。 車に乗り込んだ。)
バタンッ
(窓に反射する光が。 反町の整う服の肩に。 襟元に、光を零す。
反町は、長く美しい紫色の髪を一つに結い上げていた。)
「よろしゅう。」
(沙羅は長い睫毛で瞬き。 繊細に彫られた扇子を口もとに当て。
湊吾の従者である、反町が。 美しい紫色の瞳で、こちらを見ていることに、
満足気に微笑んだ。)
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