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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-32


(そして、敵を欺くために、
間違い無く、矢面に立つ。)

「滞りなく進めば、良いドライブになるでしょう。」

(緑の煌めきが揺れ、湊吾はニヤリと笑った。)

(リラックスした様子で、後部座席に収まる、沙羅と。
隣で、真剣な表情で見つめ返す、反町を見た。)

(反町は両手を組み、気配を研ぎ澄ませていた。)

(解けば、ため息が出る程に美しい、従者の紫色の長い髪が。
一つに結われている。)

(先に待ち受けているものを想えば、身軽が良い。)

(湊吾と反町は、正装を纏っていたが。 外見と裏腹に、
事が生じれば、即座に対応できる、技量を持っていた。)

「お楽しみを。」

(車窓から、青空が眩しい。
通り過ぎる、港町のビル群からこぼれる光に、
湊吾は目を細めた。)

『どれだけ、時間を稼げるのかは、

分からなかった。』

『戦闘が、待ち構えている。』

(湊吾は、馴染みの景色を、目に。
無事に、再び戻ることを、誓った。)

『あわよくば、祝杯を挙げたいものだ。』



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