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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-4


「君。 我々人間が、触れるものではない。」

「分不相応の、魅惑に手を伸ばせば。

自らも、魔物と化す。」

(物欲しそうにする大臣に、釘を刺した。)

「君は、不老不死になりたいのか?

それは、人間が求めるべきものではない。」

「人間のまま、生き、平穏に、真っ当に死にたいのならば。」

(滝川は、鋭い瞳を細め。 左手を挙げると、自身の頭と、胸を差した。)

「君。 それを願えば、君の。 ここと、ここは。

君が思うより早く、死に至るよ。」

(大臣の背筋は凍った。 若いからと甘く見ていた。
人当たりが良く、物静かに。 石垣の傍に、笑顔で付き添っていたこの男が。
反旗を翻そうとしている。)

「石垣が、良い手本ではないか?

私は、命が惜しいのでね。」

(滝川は、余裕を見せ、笑った。)

「まかさ・・っ、まさか先生は、FOTと・・?」

(大臣は、危うく道を誤るところであった、自分と。 滝川の大胆さに、
唾を飲み込んだ。)



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