HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-40
「くすっ。 わかった。」
(ソラは、水色の瞳を輝かせ、頷いた。)
(いずれにせよ、敵の目的がここである以上。
隠れても、無駄だった。)
(持てる力は、僅かだと分かっても。
立ち向かいたい。)
「離れず、一緒に居るさ。」
(春人が、安心させるよう、ソラとチイに振り向いた。)
「ええ。」
(チイは頷き、穏やかな笑顔で、丸く可愛らしい頬を、紅潮させた。)
「ソラくん。」
(最後に、紫苑は立ち上がり、片手をソラに差し出すと。)
(手のひらを、ソラの前に開いた。)
(そこには、紫苑が夏樹からもらった、FOTのピンバッジが輝いていた。)
「わたしも行く。」
(紫苑は、しっかりと立ち上がり。 顔を上げた。)
(紫苑の手の中で、光を受けた、バッジは。
輝き。 紫苑はそれを、胸元に留めた。)
「ああ。」
(ソラは、紫苑に微笑み。 輪になって集う皆の前に、手を差し出した。)
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』