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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-44


(静乃は、涙に濡れる瞳を上げ、
彩の胸元に、刻まれた。 不思議な、黒い幾何学模様を見つめた。)

「その文様・・。」

(静乃の悲痛な声に、彩は、微笑み。 赤いネイルの指先で、
自らの胸元に、刻まれた文様に触れた。)

「呪いは、消えないわ。」

「これは、私が選んだ道。」

(彩は、静乃を見つめ、促した。)

「菖蒲君のところへ。 行ってあげて。」

(静乃は頷いた。)

「ありがとう。 彩。」

(静乃は、涙に光る瞳を揺らし。
彩の背にした、扉に手を掛け、部屋の中へ入った。)

パタンッ

(静乃を見送り、彩は扉を背に。 しばらく茫然としていた。)

カタンッ

(医務室の中に入った静乃に、笑顔を見せる、女性が居た。)

「あっ。 静乃さんっ。」

「良かった。 まだ、眠っていますけど。 もう大丈夫ですよ。」



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