HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-46


「菖蒲くん・・。」

「よかった・・。」

(静乃は肩の力を抜き、傍にあったタオルで、菖蒲の額に光る、
汗を拭った。)

「・・はぁ・・。」

「・・・っ。」

(目を閉じて、眠る菖蒲を見つめ。 静乃の心は震えた。)

『・・こんな気持ちになるなんて。』

『あなたを失うと思ったら・・、本当に。』

『怖かった。』

(静乃は、そっと。 シーツから覗く、菖蒲の手に触れた。)

「・・温かい。」

(静乃は、指先で。 菖蒲の手をなぞり。 菖蒲の指に、
温もりを感じた。)

「・・っ・・。」

「無事で良かった。」

(静乃は涙を堪えられず、菖蒲の手を握り。
穏やかに鼓動する胸に、顔をうずめた。)

『あなたのことが、こんなに愛しい。』

「大好きよ。」



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