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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-47


「これからも、一緒に居て。」

(静乃は、菖蒲の手を握り締めた。)

(菖蒲は、まだ眠っていた。)

(静乃は菖蒲の手を離さず。 静かな寝息を、傍で聞いた。)

『こんなにも、あなたのことが、好きだと分かった。』

『愛しているわ。』

『ずっと。』

(菖蒲の体温を感じ。 安心した静乃は、
菖蒲の胸元に、頬を寄せ。 共に眠った。)

キイッ

カチャンッ

(彩の背後の、医務室の扉から、真紀が廊下に戻り。
彩に声をかけた。)

「良かったですね。 先生。」

(真紀は微笑み、機材を片手に、廊下を歩いて行った。)

「ええ。」

(彩は、返事をしたが。 まだ、その場から動けずにいた。)

(菖蒲と静乃の居る、医務室の扉に背を向け。 寄りかかり、窓から見える、
緑と、青空に、目を細めた。)



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