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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-48


「ふぅ・・。」

『私の命は。 あの能力者の手中にある。』

(彩は、自らが罪を犯し。 その肉体は、もう二度と、静乃や菖蒲の居る世界には、
戻れないことを感じていた。)

(だが、彩は、自分の魂は取り戻した。)

『だからといって、好きにはさせない。』

『呪いは、病と同じよ。』

『共に戦うわ。』

(彩は、静乃と菖蒲の存在に。 二人を再び、結びつけることが出来た喜びに。
自らが救われ。 命に力が満ちるのを感じた。)

(彩の胸に、刻まれた、フェルゼンの呪いは消えない。)

(それでも、彩の心は、菖蒲の命を救えたことに、躍動した。)

『目的を果たすまで、呪いは消えない。』

『それは、夏樹君にかけられた呪いも同じ。』

(彩は、赤いネイルの指先で、胸元の文様に触れた。)

(彩は、微笑んでいた。)

『今なら、彼の気持ちが分かる。

それだけでも、

私には、成果があったわ。』



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