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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-49


(たたずむ彩の向こうに、廊下の先で、
真紀と入れ違い、彩の元へ向かって来る人影がある。)

トッ トッ

「彩!」

(声を聞き、彩ははっと顔を上げ。
声の方へ振り向いた。)

「・・剛・・。」

(彩の瞳は輝いた。)

「無茶しやがって。」

(剛は、戦闘で汚れた姿のまま、廊下を大股で横切り、
たくましい両腕で、彩を、がっちりと抱き締めた。)

「・・っ!」

(彩は、全ての不安から解き放たれ。
疲れを忘れ。 汗に光る、ピンク色に輝く髪を揺らし、
彩も両腕で、高く、たくましい剛の背に、肩に。)

(思い切り抱き付いた。)

「ごめんなさい。」

「会いたかったわ。」

(彩は、それだけ言うと。
涙に濡れる瞳で、剛を見上げた。)

「愛してる。」



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