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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-52


「パパっ! この怪物がっ。」

「この怪物がねっ。 観覧車をこわしたのっ!」

(真は、スケッチブックを、一に掲げて見せた。)

「ん? 観覧車?」

「真・・。 怖い夢を見たんだね。」

(一は、小さな真の背に屈み。 鞄を持っていない方の片手で、
真を抱き締めた。)

「大丈夫。」

「真の好きな、観覧車は壊れていないよ。」

「お祭り広場にある、アトラクションは止まっているがね。」

(心配ないとばかりに、一は真の頭を撫でた。)

「怪我人が出なかったのが、幸いだった。」

(真は、一の言葉を聞き、大きく瞳を開いた。)

『・・!』

「・・っ、でもっ。 パパっ、あのとき。」

「女の子が・・っ。」

(真は、怪物と、青葉のことを思い出し。
それ以上、口に出来なかった。)

「ママとゆっくり待って居なさい。」



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