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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-53


(一の手は、優しく真を撫でたが。 真の想いは、届いていなかった。)

「さぁ、真ちゃん。 ママと遊びましょう。」

「パパはもう、出かけないと。」

(真は、一に、危機を、事件の真相を伝えたかったが。
一は、真から手を離すと。 振り返らず、玄関に向かった。)

『パパ・・!』

『ママ・・!』

(真は上手く、言葉に出来なかった。)

『どうしよう・・。』

『パパに何かあったら・・!』

(真は、まだ遊園地に、怪物が居るに違いないと思っていた。)

(街には、怪物が潜んでいるかもしれない。)

『どうしよう・・っ!』

(真は震える手で、スケッチブックを握り締め、
ふわふわの長い髪をなびかせ、部屋に走り帰ると。)

(可愛らしく飾り付けられた、子供用の携帯を、握り締めた。)

「ぱこちゃん・・。」

(真は、震える指先で、花子に電話しようとした。)

ピロリロリンッ♪



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