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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-55


[「何もいないって。」]

(真は瞬いた。)

「え?」

(花子は、大事なことだと言う様に、
ゆっくりと、真に告げた。)

[「聞いて真。」]

(真は息を飲んだ。)

[「壊れた遊園地が、元に戻っていたの。」]

[「誰も、“怪物”を見ていないって。」]

(信じられない気持ちで、真は携帯を握り。
足元に転がる、スケッチブックを見つめた。)

[「誰も、覚えていないって。」]

(真の胸は高鳴った。)

「・・でも・・。」

(真は、目の中に残る、恐ろしい怪物の姿と、
青葉の光景を忘れられなかった。)

***

「消えちゃったんだよ。」

「まこちゃん。」



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