HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-60


「晴。」

「ものごとはな。」

「お天道様の下に、見える顔が信実とは限らねー。」

「何が真実か、お前も見たいだろ。」

(そう言って笑う、勝が。 晴にはかっこよく見えて。
晴は、唇を噛んだ。)

ブーブーッ

「おっと。」

「やっと繋がったぜ、春ちゃん。」

(電話に出て、話し始めた勝に、晴は、再び胡散臭げな
目を向けた。)

(勝は手短に、電話の相手に告げると、
慌てて玄関に向かった。)

「晴。 戸締りしとけよ。」

(勝の背中に、晴は詰め寄った。)

「春ちゃん・・?」

「また他に、女作ってんじゃねーよ。」

「んなんだから、お袋に捨てられんだ。」

(晴は苦い想いで、伸びすぎた前髪の間から、勝を睨んだ。)

「へっへっ。」



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