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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-61


「男だよ、男。」

「春日誠司君だ。」

「真面目で良い奴なんだが。

昔から、一直線なところがある。」

「本陣に乗り込むつもりだ。

助っ人しねーとな。」

(言うと、勝は、玄関のドアを背に、
飛び切りの笑顔を浮かべた。)

『!』

(なぜか、習慣の様に、出かける時。 勝は必ず、
晴に振り返り、笑顔を見せた。)

(昨夜は、徹夜で寝ていないに違いない。
クマの出来た顔に、晴は、ため息をついた。)

「てめぇが行って、何が出来るんだよ。」

『休めばいいのに、ぼけ。』

(勝はニヤリと得意げに笑った。)

「これ。 これ。」

(手には長年現場を共にした、愛用のカメラが握られていた。)

「行って来る。」



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