HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-67
(勝は、誠司の言葉に、胸を打たれた。)
「・・誠司。」
(普段冷静な誠司が、ここへ来るとは。
作戦を承知でも、居てもたっても居られなかったに違いない。)
「気持ちは分かる。
だが、落ち着け。」
「お前まで、捕まったらどうする?」
(誠司ははっとし、肩を落とすと、唇を噛んだ。)
「・・人間では、どうすることも出来ないでしょうか・・。」
「・・子供たちが、あんなに頑張っているのに、
私は・・。」
(うつむく誠司の耳に、近づいてくる足音がある。)
「!」
(勝も警戒し、振り返った。)
「・・お前は・・。」
(二人の前に現れたのは、スーツ姿の男だった。)
「青木・・。」
(勝は意外な人物の登場に、驚くと同時に。 長年の経験から、躍動する瞳を光らせた。)
「滝川の秘書だな。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』