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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-73


「親父が追いかけてるんだ。

きっと、そいつらのこと!」

(晴は、両手を握り締めた。)

「見えない世界があるんだよ。

オレたちは、足を踏み入れた。」

(長い前髪の間から、晴の瞳が、前を見つめた。)

***

ブブンッ・・

(港を越え、巨大な橋を渡り。 車は、次の街への入口に。
届こうとしていた。)

「検問ですね。」

(反町は、紫色の瞳を光らせ。 鋭く前方を見た。)

「簡単には通してもらえぬか。」

(沙羅は、艶やかな黒い瞳を揺らした。)

「くっくっ。 石垣もやるものだ。」

「もう感付いたか。」

(甘い香りを漂わせ。 沙羅は、扇子で口元を覆った。)

「くっくっ。 感付いてもらわねば、困るがなぁ。」

(余裕の笑みを浮かべ、美しく結われた黒髪を靡かせ。 後部座席で美しい足を組む。)



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