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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-76


「・・・っ。」

(反町は、呼吸を整え。 後部座席で、状況を見守る。
沙羅の前に、僅かに身を乗り出した。)

(正装に身を包んだ、長身の、所作は美しく。
自然な流れで、沙羅の身を庇おうとした。)

「・・大事無い。」

(沙羅は、近づいた反町に、囁いた。)

(縮まる距離で、一つに結われた反町の、美しい紫色の髪が、
入り込む夏の日射しに、光った。)

「伏せて下さい。」

(反町は、万が一に備え、警戒した。)

カッ カッ

(警察官が、前の車両の検問を終え、湊吾の車に近づいて来る。)

「・・っ。」

(運転手の、ハンドルを握る手に、汗が滲んだ。)

「・・・。」

(湊吾は端末から顔を上げ、鋭い瞳を、前に向けた。)

ガッ

(一人の警察官が、湊吾の車に近づいた時。
背後から、その警察官は、肩を掴まれ、呼び止められた。)



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