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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-77


「須藤。 移動だ。」

「目標がルートを外れた。」

(現れたのは、髭を生やした、年配の警察官だった。)

「なっ!」

「そうですか・・。」

「こちらの動きに、気付かれたのか・・っ。」

(若い警察官は、悔しそうに首を振ると、非常線を解くために、
湊吾の車に背を向けた。)

「加賀さん。」

「ご苦労様です。」

(入れ違いに、もう一人の若い警察官が、警察車両から降り立ち。
数名の部下を引き連れ、加賀と呼ばれた、髭の警察官に、
頭を下げた。)

「氷置。 後は頼んだ。」

「俺は、須藤と新しいルートに出る。」

(加賀は、白手袋の手で、髭を撫で。 ちらりと、去って行く須藤の背中を見た。)

「奴は、純粋で。 真っ直ぐすぎる。」

(言われた氷置は、肩をすくめた。)

「俺は、ひねくれているもので、すみません。」



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