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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-91


[「荷物を奪えば、取り戻せる。」]

[「人間の世界をなぁ。」]

(通話相手の言葉に、翼は聞き入った。)

「くっくっ。」

(短い一文が、手元の携帯に送られたのを確認し。
翼は、笑った。)

***

「敵は、内部に居ることがありますゆえ、

外の力をお借りしたい。」

(滝川は、鋭い瞳で前を見ていた。)

(誠司には、滝川の本心が見えなかった。)

(滝川は、表情を変えずに、こちらを見ていた。
だが、その顔の奥に、様々な思考が過っているのを感じる。)

(滝川は、誠司たちとテーブルに着き。
同時に、背後で。 国の行方を動かしている。)

(誠司は、向き合う今一瞬の中に。 滝川の背負っているものを感じた。)

(それはまるで、能力者が。
強い力を、内に込める様に。 激しく揺れ動く波動を。
固い意志で、目の前の誠司に見えない様にしているようだ。)

「同時に、能力者組織が、人間の力を借りるということもある。」



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