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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-95


(湊吾の車は、能力者に取り囲まれたまま、
逃げ場の無い、白い橋の上に。)

(走り出した。)

『風見市に行くには。 ここを通らねばならない。』

グワンッ・・!

ギギギッ!

「・・っ!」

(運転手は、叫び声さえ出せなくなった。)

「湊吾様!」

(反町は、後部座席で、守るべき、沙羅の身体を支え。
トランクの上に乗り、こちらを睨むもう一人の能力者を、
鋭い紫色の瞳で見た。)

「・・っ。」

(沙羅は振り返り。
反町の強い腕の中で。 ガラス越しに、
迫り来る敵に、目を合わせた。)

チリンッ・・!

(沙羅の、耳元に揺れる、美しいアクセサリーの
輝きに。)

(額に描かれる、赤い花の文様が光る。 黒い瞳、眩い美貌に、能力者の目が笑った。)

「予定が変わった。」



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