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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-99


(強い海風が、吹き抜ける。)

「ひゅー!

これは、絶世の美女だ・・っ!」

「(・・・!)」

(それは、一瞬の出来事だった。)

(沙羅は、海風を受け。
窓から、しなやかな身を、車外に乗り出した。)

(海風が、長い黒髪をあおる。)

(トランクの上に居た能力者は、
確かに、その美しさを見た。)

(舞い上がる黒髪の間から、輝く黒い瞳。
赤い唇が自分に向かい、何かを告げようと。
微笑むかに見えた。)

ゴワッ・・!

(包まれた、白檀の香り。)

(美しい白い腕が、手にした扇子を、開いた。)

ゴオッ

ビシュッ・・! バキッ!

ビシャッ・・!

ビシュシュシュッ!



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