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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-106


(ニュースキャスターの表情が、いつの間にか。 変わっている様に、
桜には感じられた。)

「いいえ、私はそうは思いません。」

「間もなく、国が。 緊急の記者会見を開くと一報が入りました。」

「総理自らが、国民に閉ざされてきた、真実を明らかにするとのこと。」

「番組では、この後、首相官邸から、会見の模様を、

緊急生放送します。」

(危機迫り、告げるニュースキャスターの目は、赤く血走っていた。)

(テレビを見つめていた、桜は。 恐怖に駆られた。)

(胸騒ぎがする。)

(善の魔力が、あちこちに届き、じわじわと、人々の不安を煽り。
闇が止まった今も、見えない恐怖に人々は怯え始めていた。)

(恐怖がすぐそこまで迫り。 日常が崩壊する予感がする。)

「・・・っ。」

「ふぅ・・。」

(桜は、落ち着くように、深呼吸し。 そっと、エプロンの胸元を握り締めた。)

『大変な、時が来たわね。』

『誠司さん。』

(エプロンには、赤い片羽根のピンバッジが留められていた。)



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