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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-107


(聖から友として譲り受けた、Friendと刻まれたピンバッジが
桜に勇気を与える。)

(桜は、気を取り直し、身の回りの物を集め始めた。)

(未曽有の災難が、家族に。 街に、訪れることを予感した。)

***

「まるで、我らが悪者じゃな。」

(艶は、風見市北通り、繁華街の大通りに映し出される。
ビルの上の巨大モニターに目を向けた。)

(行き交う人々は、警戒しながらも足早に、通り過ぎる。)

(朝の街並みの様子は、変わりないように見えた。)

「それでも構わぬ。 人々が、この暮らしを守れるのならば。」

(艶は漆黒の長い黒髪を揺らし、大きな黒い瞳で瞬いた。)

(小学生程の、背丈の艶は、大通りとビル群。 人波に埋もれそうに、
小さな存在に見えた。)

(けれど、秘めた力が熱く、身体の奥底に燃えていた。)

「なぁ、白。」

(艶は隣に立つ、背の高い白を見上げた。)

(白はゆっくりと瞬き。 自分たちの周囲を取り巻き、
流れて行く人波、巨大なビル群に微笑んだ。)

「・・そうだねぇ・・。 艶ちゃん〜・・。」



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