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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-111


「・・ふぅ・・。」

(ともすれば、全てが終わってしまう。)

(一歩踏み出す勇気を、夏樹は欲していた。)

(閉ざされた世界。 国家機密組織に身を置いてきた。)

(子供の頃から、自分の存在は隠され。 語ることは許されなかった。)

(Fragment of Timeのメンバーたち。 千波や聖の顔がよぎる。)

(FOTを愛する気持ちと、自らの秘めた力の危うさ。)

(存在すること自体の罪に。 夏樹の胸はつぶれそうだった。)

「夏樹。」

(ソラは、夏樹の背中に声をかけた。)

「夏樹くん・・。」

(紫苑とミイも、傍で見守っていた。)

「・・ふぅ・・。」

(夏樹は前を向き、ドアに手を掛けた。)

(深呼吸し。 深い紺色の瞳が、煌めいた。)

ガララッ

(ドアを開け、教室に一歩踏み出す。)

(開いた教室の後ろのドアに、クラスメイトが一斉に注目した。)



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