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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-114


「皆に、話したいことがある。」

「僕は、皆に嘘を付いていた。」

(真実が、間もなく世界に明らかになる。
その前に、自分の言葉で話したかった。)

(冷ややかな視線と恐怖。 SNSで拡散されている出来事が、
風見市に、クラスメイトに、全国に届く中。)

(夏樹の言葉を受け入れることは、難しかった。)

「初めてここへ来た日。 僕は、話すべきだった。」

(皆の優しさや笑顔を知った今。 皆の憎しみと、恐怖の視線と
向き合うことは、夏樹を苦しめた。)

「ニュースになっている様に。」

「僕は、普通の人間じゃない。」

(血の気を失う夏樹の肌は蒼白で。 深い紺色の瞳は、
緊張し、深く青く澄んでいた。)

『夏樹・・!』

(ソラは、駆け出したい衝動を抑え、教室の後方で
自分の拳を握り締めた。)

「ソラ。」

(ミイはソラの気持ちを察し、背の高いソラの上着の裾を握り引いた。)

「皆を、騙すつもりじゃなかった。」



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