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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-124


「信じられるし。」

「同じ人間だって。 思える。」

(静乃は微笑んだが、その目には、涙が滲んだ。)

「先生は、そう信じている。」

(静乃には、それが生徒たちにとって、困難であると。
分かっていた。)

(溢れかえるニュースと、不安を煽る情報。)

(恐怖が、真実さえ、隠してしまう。)

「先生は、人間だけれど。」

「先生の好きな人は、能力者だった。」

(静乃は、両手を合わせ。 胸の前で組むと。
微笑み、目を閉じ。 一人の人を、思い描いた。)

『菖蒲くん・・。』

(静乃は、瞳を開き。 生徒たちを見つめた。)

「彼と出会わなければ、

私も、きっと、能力者を恐れた。」

「皆に、知ってほしいの。」

「彼らも同じ人間なんだっていうことを。」

「そして、私たちを守ってくれる。」



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