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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-133


「我々政府が、風見市の皆様を見捨てることはありません。」

「しかし、“闇”化の拡大を防ぐためには、

風見市民の皆様、そして全国の皆様の協力が必要です。」

「能力者集団である、国家機密組織、Fragment of Time、通称FOTは、

風見市の人々の命を盾に、我々政府に、

この国に、戦いを挑みました。」

「断じてこの戦いに、負けるわけには行かない。」

(石垣の黒い瞳は、呪いの炎に燃えた。)

「これは、能力者から、我々人類への挑戦状です。」

(石垣は、骨ばった手で、テーブルを叩いた。)

「最も重要なことは、“闇化”を抑えることです。

命を守るために、ご協力をお願いいたします。」

「能力者が与えた、“闇化”により。」

「先日、十代の少女が死亡しました。」

(操り人形となった、石垣は、
簡単にそのことを口にした。)

***

(端末の画面から、中継の様子を目にした夏樹は、
自らの処遇よりも、石垣が、完全に娘である青葉のことを、
忘れ。 言葉を口にしている様子に、耐え難い苦しみを感じた。)



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