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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-143


***

バッ・・!

「やめろ・・!」

(夏樹の視界と、教壇、教室の前方は。
一瞬で、投げ付けられたペットボトルの水で覆われた。)

バシャッ・・!

ガタタッ

(水を浴びた夏樹は、目を閉じ。 覆いかぶさり、かばったソラの背中も、
水に浸った。)

「だめだ。」

(ソラは、水しぶきを浴び、滴る水色の髪をなびかせ。
ペットボトルと水を投げ付け向かう、涼を制した。)

「う・・っ。」

(夏樹は、水飛沫の中、苦しい思いに目を閉じた。
涼をそうさせたのは、自分だった。 水が、深い紺色の髪と、白い肌を伝う。)

(夏樹が浴びたのは、水よりももっと、強く苦しい。
涼の想いと、クラスメイトからの嫌悪。)

(そして、おそらく、風見市民全員からの、
それだけでなく、第二国国民からの、拒絶だった。)

「出て行け!」

(涼は、吠え。 両腕を、後ろから、駆が掴み止めた。)



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