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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-145


「お前が、居なければ、

俺たちはこんな目に合わなかった!」

「そうだろう!」

(涼は怒鳴り、クラスメイト達は、怯え。
叫び声を上げ、皆、夏樹から離れようと、身を引いた。)

(涼は、紫苑を見つめ。 悔しさに歯ぎしりした。)

「何もかも、お前が壊した。」

「この街も、大事なものも・・!」

(涼は、善の施す魔力にも影響を受け、
憎しみの心を増幅させていた。)

(夏樹へ向ける憎しみは。
同時に、自身をも責め立てた。)

『紫苑・・!』

(涼は、紫苑が震え、口元を覆う指先が、小刻みに、
冷たく震えるのを見て。 その手を取り、
この場から、連れ出したい衝動と戦っていた。)

(それでもなお、紫苑は。
紫苑の涙にあふれる瞳は。
夏樹だけを、真っすぐに見ていた。)

「お前が、汚したんだろうが!」

「能力者だぁ・・っ。」

「戦いたいなら、俺たちが居ないところで、勝手に戦って、死ね。」



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