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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-148


「皆を守り、

戦うのが、国家機密組織。 Fragment of Timeだって。」

「くっ。 笑わせる。」

「正義面するんじゃねーよ。」

「俺たちの未来と、引き換えにしたんだろうが!」

(ニュースは校内を駆け巡り、風見ヶ丘高校だけでなく、街中が一変していた。)

「青葉を殺し、美菜を傷つけ。」

「俺たちを汚染した。」

「なのに、今は、風の力を使えない。 だと。」

「怖くなったのか?」

「都合の良い、言い訳だ。」

「俺たちは黙って、あの怪物に食われるか。」

「“闇”とかいう病で死ぬのを待つだけか?」

(涼の声は震えた。)

「何とか言えよ!」

(夏樹の言葉は、喉の奥で、詰まり。 蒼白な肌の喉が、ごくりと鳴った。)

(許してもらいたいわけでも、認めてもらいたいわけでもなかった。
それでも、抱えていた思いを。 聞いてもらいたかったのか。)



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