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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-152


「手遅れだろうが!」

(涼は、春人に叫び。 再び夏樹を睨んだ。)

(夏樹は、深々と、頭を下げ続けている。)

「・・少し、待って・・。」

(静乃は、そう言うと、春人に頷き。 教室に残る皆も、二人の様子を見守った。)

[「夏樹。」]

[「負けるな。」]

[「自分の道を信じろ。」]

(晃の声は、機器を通して、夏樹の耳に届いていた。)

(冷たい水が、夏樹の蒼白な肌から床に落ちる。)

(ぎゅっと閉じた夏樹の目は、開かず。 濡れた深い紺色の髪が覆った。)

[「聖は、道を切り開こうとして来た。」]

[「“道”はこうして、まだ、」]

[「俺たちの前に残されている。」]

(夏樹の心は震えた。)

『聖が、命をかけ、開いた。

能力者と、人間を繋ぐ道は。

今も残されていた。』



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