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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-153


『それなのに。』

『一体、自分に、何が出来るだろう。』

『これまで、“時の欠片”を集め、“闇”と戦い。

人々を守って来たと、思っていた。』

『結界の中の、偽りの世界で。』

『狭い、自分の世界で。』

『戦って来ただけだった。』

(夏樹は目を開き、深い紺色の瞳が。 真っ直ぐに、涼を見た。)

「君は、逃げないんだな。」

(涼は、夏樹の言葉に驚いた。)

「な・・っ! 俺は、ただ・・っ。」

(涼は、横目で、紫苑を見た。)

(ソラは、涼と夏樹の様子を見守った。)

「涼の言う通りだ。」

(夏樹の深い紺色の瞳は、涙を浮かべ、涼を見つめた。)

『何て、思い上がりだ。』

『涼の言う通りだった。』

『能力を無くせば、何も出来ない自分が、居るだけだ。』



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