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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-161


トッ

(紫苑は、夏樹と反対の廊下へうながされ、
躊躇い、夏樹の横顔を見つめた。)

「夏樹くん。」

(駆と、佐織も、紫苑を夏樹から離した。)

「紫苑は、こっちへ。」

「大丈夫。 snow dropで落ち合おう。」

(ソラが、駆と佐織に指示を出し。)

(夏樹を反対の廊下へ、押し出した。)

「夏樹、裏へ。」

「菖蒲が、来ている。」

(ソラの言葉に、夏樹ははっと、目を開いた。)

(菖蒲の存在が、不思議と、“闇”から夏樹の心を引き戻す。)

「はっ。」

「ああ・・。」

(夏樹は、崩れ落ちそうな、心の片隅に、しがみ付き。)

(顔を上げ、重く、自分の足と思えない両足で。
校舎の裏手に向かった。)

(開いた透き通る、深い紺色の瞳から、雫が弾け、視線を前に向けた。)



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