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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-162


(紫苑は心配そうに、夏樹を見送った。
廊下に出て、外へ向かうと。)

(途端に、非常時と化した、人々の様子、空気が、
音が、風に乗り、紫苑を包み込む。)

(騒音と、悲鳴。 紫苑の呼吸が荒くなる。)

(校門に群がる、国の命を帯びたマスコミたちは、
目の色を変えて、夏樹を探しているようだった。)

「はぁ・・っ。」

(紫苑は、夏樹を案じた。)

「あの人たちも、善の魔法にかかっているの?」

(マスコミたちの目は、赤く光った様に見えた。)

「ああ。」

「紫苑、大丈夫か?」

(ソラは、大きな腕で、紫苑を支え。
水色の瞳で笑顔を向け。 鋭く前を見た。)

「・・うん。」

(紫苑は、息を整えた。 善の魔法も、変わってしまった世界も
恐ろしい。)

(だが、何よりも、夏樹の風が消え。
街を、世界を。 風が、恐怖を乗せ、吹き荒れているのが、
恐ろしかった。)



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