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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-17


(紅い鮮やかな化粧の目元が、遠く、魔女を想った。)

「それでも、愛しき男の子供。」

「破壊出来ぬ、想いがあるのよ。」

(沙羅は微笑み、無憂を見た。)

「“鍵”が隠されているうちに。」

「“呪い”を解く、方法を見つけるのだ。」

(いずれにせよ、時間は残されていない。)

「人間界への“鍵”の情報は、滝川の手によって、

隠されている。」

「石垣が、心を失うたのが、幸いした。」

(“鍵”の存在を知っている、石垣は、最愛の娘、青葉を失ったことで。
自我を失い。 記憶を失い、フェルゼンの思うままに操られている。)

「さて、神の力を持つ、聖は。」

「そこまで見通しておったか。」

(沙羅は、思考を巡らせた。)

「聖は、自身と、夏樹の中に眠る、粒樹の記憶を

異空間に閉じ込めている。」

「粒樹の魂を、夏樹から切り離し。」

「“鍵”を取り出す機会を探るか。」



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