HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-18


「夏樹の心臓を。 夏樹の意思で動かす必要がある。」

「融合した“鍵”を切り離せるか。」

「簡単ではなかろうが。」

(沙羅は、夏樹の無事を願った。)

「夏樹の中から、粒樹の意思を聖が持ち去ったことと。」

「あの少女に起こった出来事が。」

「夏樹から力を奪った。」

(沙羅は目の前の、青葉が眠る、緑豊かな巨木を。 無憂と共に見上げた。)

「もう一度。」

「自分の意思で。 戦うことだ。」

(沙羅は自分と、第二国の人間界とを繋いでくれた。
翼と、白竜が出迎えてくれているのを見ると。 自身も風見市へ向かい、
出発した。)

***

(夏樹は、FOTの屋敷に残ることを選ばなかった。)

(最も会いたい人の元へ、夏樹は向かった。)

「向き合うべきものがある。」

「フェルゼンは僕を探す。」

(深い紺色の瞳が、紫苑を見つめた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ