HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-170


「FOTで、僕は、No.を与えられた。」

「それが、どういうことなのか。」

「僕は、知るべきだった。」

(夏樹の言葉に、菖蒲ははっとし。
夏樹を抱き起すと、両手で、夏樹の両腕を掴んだ。)

「しっかりして下さい。」

「夏樹様。」

「あなたは、あなたです。」

(菖蒲は、白手袋の両手で、白い夏樹の両頬を、覆った。)

「雨宮 夏樹。」

「その名は、無くなりません。」

「あなたは、記号ではない。」

「FOTであることを。」

「誇って良いんです。」

(菖蒲は、四角い黒縁眼鏡の奥の瞳で、微笑み。)

(涙の浮かぶ、深い紺色の瞳を、至近距離で見つめた。)

「私は、誇りです。」

「あなたの執事であることが。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ