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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-173


「ありがとう・・。」

(夏樹は、白い右手で、自身の胸を掴んだ。)

(鼓動は偽りで、夏樹の身体は、冷たく死んでいた。
それなのに、夏樹の胸に、熱い思いが込み上げる。)

「まだ僕は、風に触れられないのか・・。」

「この家を、僕も守りたい。」

(夏樹は、力無く。 冷たい胸から、手を離した。)

(菖蒲は、そんな夏樹を、見守った。)

「・・夏樹様。」

(桜は、夏樹を温かく迎えた。)

「さぁ、中へ。」

「お腹減ったでしょう。」

「お夕飯にしましょう。」

「誠司さんも、がんばってくれているから。」

(桜は、夏樹の肩に手をやり、家の中へ促した。)

(アーチの向こうへ目をやり。 そっと、遠くFOTや、
周囲を守ってくれている、氷置たち警官へ、
感謝の念を込めた。)

サァッ・・



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