HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-191
(夏樹の瞳は、それは出来ないと言っていた。)
(千波の明るい茶色の瞳は、潤みながら、強く夏樹を見つめた。)
《風見市長は、国からの要請を拒否しています。》
(テレビのモニターは、批判的な報道、苦悶する誠司の様子を映し出した。)
「風見市には、備えがあります。」
「風見市の閉鎖に強く抗議し、撤回を求めます。」
(誠司は、そう強く訴えたが、聞き入れられなかった。)
《風見市には、危険な能力者が集っています。》
《国は、市長の訴えを退け、特殊部隊の派遣と、市の閉鎖を継続します。》
《続いて、風見市内で、“闇化”する恐れのある、》
《能力者と接触した、“時の欠片”保有者の、隔離の模様をお伝えいたします。》
「えっ!?」
(千波も思わず、顔を上げ、テレビを見た。)
「隔離?」
(キッチンで、夕飯の支度を手伝っていた紫苑も、顔を上げテレビを見た。)
(桜も、濡れた手を拭き。 エプロン姿で、リビングのテレビを覗いた。)
「誠司さん・・。」
(桜は、心配そうに、誠司の姿を見ていたが、次には、
風見市内の住宅街が映し出された。)
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』