HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-194


「うん。」

「帰って来る。」

「夕飯の支度して、待っていよう。」

(紫苑はそっと、蒲公英の、短い髪の頭を撫でた。)

「そうね。 大丈夫よ。」

(桜もそう言って、二人の娘を励ました。)

(紫苑は、キッチンに入り。
エプロンを身にまとうと。 心を引き締めた。)

(夕飯に、温かなスープを作ろうと、
新鮮な野菜が、キッチンを彩っていた。)

(勇気付けたい。 夏樹を、皆を元気にしたい。)

『夏樹くん・・。』

(紫苑の中に、そんな強い想いが宿った。)

「ママ、玉ねぎはどうする?」

「教えて。」

(紫苑は、おぼつかない手で、野菜を握り。
笑顔で、桜を見た。)

「ええ。 皮をむいて、それから大きめに切って。」

(桜は微笑み、紫苑の後ろから手を添えた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ