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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-195


「うん。」

(紫苑は、あまり料理が得意ではなかったが。
こんな風に、力になりたいと思ったのは、初めてだった。)

「千波さん。」

(紫苑は、傍に立つ、千波に、微笑んだ。)

「お料理って楽しいね。」

「わたしはあまり、得意じゃないけど。」

「わたしにも、出来ることがあるかもって。」

「そう、思って。」

(紫苑の瞳は、潤んだ。)

「千波さんが、FOTの皆さんに。」

「お料理を作ってあげている気持ち・・。」

「少しだけ、分かった気がする。」

(紫苑は、玉ねぎをむきながら。
微かに、涙した。)

「ふふ。 紫苑ちゃん。」

「美味しいごはん、作ろうね♪」

(千波の胸にもまた、熱い想いが込み上げた。)

(一番作ってあげたい、聖のことを、心に強く思い描いた。)



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