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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-204


「風見市の人々は、“闇”に“汚染”されてる。」

「もう、会えないって・・!」

(チイは、携帯を片手に、涙ぐんだ。)

[「チイ。」]

[「大丈夫だ。」]

[「また、会えるし。」]

[「風見市の皆も、大丈夫だ。」]

(春人は、携帯で、映像通話をしながら。
チイに、微笑んだ。)

「春人さん・・。」

(チイの、携帯を持つ手は震えた。)

(壁の向こう側は、確かに、自分の故郷で、帰るべき家がある。)

(それが遥かに遠く、恋人である春人の存在も。
街に居る友人のことも。 触れることが出来ない世界に居る様だった。)

「がんばって。」

(チイも春人に、なんとか微笑み返した。)

(画面の向こうの春人は、避難所に向かう人々の雑踏の中に居て。
クラスメイトや街の人々を、救おうとしているのを感じた。)

「ああ。」

「夏樹や、ソラも居る。」



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