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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-21


『俺は、お前を諦めない。』

『必ずだ。』

(ソラは、深い紺色の瞳が、輝くのを見つめた。)

***

(夜が、街を包む。)

(音々は、イヤホンから音楽を、最大ボリュームにして、
音を浴びた。)

(夜の繁華街の騒めきは、音々を、どこかへ連れ去ってはくれなかった。)

(眩く反射する、イルミネーションと、人混みの中を。)

(彷徨い歩いた。)

「どうして、わたしだけ、忘れないんだ。」

(街の灯りを反射する。 音々の黒い瞳は、
虚空に失った友の姿を、探した。)

「あれは、夢だったって、誰もがそんな顔してる。」

(賑やかな街の景色は、変わらずそこに在り。)

(孤独に苦しむ、音々を苛立たせた。)

『誰も、あたしの想いに気づいてくれない。』

『誰も・・、あの子の事を覚えていない。』

「あいつ等に、消されたんだ!」



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