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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-213


ドンドンドンッ!

《聞こえないのか? 表に出ろ!》

(先頭に立つ、特殊部隊長の肩に、手を掛けた、無謀な男が居た。)

「お静かに願おうか。」

「ここは住宅街だ。」

(警察官である、氷置が、特殊部隊長を引き止めた。)

「接触者より、自主隔離希望の申し出がありました。」

「自宅内で待機し、外部との接触を断ちます。」

「この場合、“闇化”が発生しても、外部に与える影響は少ない。」

「特殊部隊の管理下から外れ、我々警察と、風見市により、

経過を観察します。」

(氷置は、冷静に白手袋の手で、書面を取り出し、
特殊部隊長にかざした。)

「抵抗の無い国民に対し、武力を用いるのは、法に反する。」

「特殊部隊の管轄ではない。」

「滝川大臣の命令だ。」

(氷置は、冷ややかに、眼鏡の奥の瞳で、特殊部隊長を見つめた。)

「無謀な行動は、慎むべきだろう。」

「マスコミの前で、石垣首相の評判を落としても良いのですか?」



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