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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-220
(翼は、サングラスに手を掛け、やれやれと首を振った。)
「行くぞ、白竜。」
「見回る場所は、山ほどある。」
「リムジンが向かってる。 No.0-3に任せろ。」
(翼は、菖蒲が夏樹の行き先に近づいていることを確認し。
自身の短く跳ねる、白い髪を片手で払った。)
「一雨降るな・・。」
(鼻に付く、雨の匂いに。 混じる香りは、きな臭く。
翼の背中を震わせた。)
(街に渦巻く、憎悪、恐怖。
戦いの気配が、厚い雲と、街を覆っていた。)
***
(夏樹は、強い衝動に駆り立てられ、
聖の残した、空間通路を、いくつも、闇雲に駆け抜けた。)
ゴオッ!
(微かに残る薔薇の香りも、聖の気配も。)
(夏樹に答えをくれなかった。)
(自分に何が出来るのか。 どうしたら良いのか。)
(美菜の無事を願いながら、何も出来ない自分に苛立ち。
ちっぽけな自分は、大きく変わり行く世界に、
まるで無力で。 裸で放り出されるようだった。)
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