HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-221
「はぁ・・。 はぁっ。」
(空間通路の、締め付けられるような、圧力が。
夏樹の身体を押しつぶし。)
(込み上げる悲しみが、喉をふさいだ。)
「う・・っ、う・・。」
(夏樹は、風見市全土の様子を確かめたくて。
いくつもの空間通路から、
扉を開き。 風見市の境界を見た。)
ヒュウッ
(扉を開くたび、風と、冷たい空気が流れ込み。
夏樹の頬に触れた。)
「こんなことに・・っ。」
(夏樹は、いくつかの空間通路を抜け。
風見市の全ての境界が、高い防壁で閉鎖されているのを見た。)
(自分がこの街にもたらしたもの。
自分が受けるはずであった仕打ちを。 美菜だけでなく、
全ての街の人々に与えたことを。)
(夏樹は実感し、絶望した。)
ドザッ・・
(闇雲に、いくつもの空間通路を抜け。
夏樹は、風見市で一番高い場所にある、風の丘草原に辿り着き。
広大な、芝生の野原を前に、両膝を着いた。)
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』