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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-223
(夏樹は、草原の端に建つ。 風力発電の、白い風車を目指し、
歩き始めた。)
「はぁ・・。 はぁ・・。」
(重いスニーカーの足に、芝生の香りがする。
雨が、ぽつぽつと、降り始めた。)
(夕暮れの、雨雲は、厚く、暗く。
頭上を覆い隠し。 芝生の野原の先に、遠く見える海も、
暗く、陰っている。)
(まるで、夏樹に圧し掛かる、苦しみの様に。
重く、湿った空気が辺りを包んでいた。)
(雨粒が、足元を濡らし、
夏樹の白い、頬を打つ。)
(晴れの日に、家族と訪れた景色はそこに無く、
夏樹の犯した罪が、全てを一変してしまったようだった。)
「う・・っ。」
(頬に、冷たい雨と、涙が流れる。)
(深い紺色の髪に落ちる雫。 濡れる前髪の間から、
何かを探し求める様に、深い紺色の瞳が、揺れた。)
ドサッ・・
(夏樹は再び、崩れ落ち。
大きな、白い、三枚の羽根を持つ、巨大な風力発電の風車の下で。
うつむき、倒れた。)
「はぁ・・っ。」
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